オンセミ(onsemi)は、2040年までにネットゼロエミッションを達成することを約束し、この目標を達成するために積極的な戦略を実行しています。しかし、ネットゼロとは何を意味するのでしょうか?競合他社や他の企業が気候変動に対して行っていることと比べてどうなのでしょうか?
すべての気候変動に関する誓約が同じように作られているわけではありません。カーボンニュートラルやネットゼロを掲げている企業を見たことがあると思いますが、その違いは何なのでしょうか?
- カーボンニュートラルでは、企業が排出活動を無効にするのに十分な量のカーボンオフセットを購入すれば、通常通りの業務を継続することができます。カーボンニュートラルの誓約は、企業が事業活動による現在または将来の排出をなくすことを要求するものではありません。カーボンニュートラルの誓約は、パリ協定に沿ったものではありません。
- ネットゼロエミッションでは、回避できない排出量に相当するカーボンオフセットを購入する前に、Science Based Targets(科学と整合した目標設定)に基づく1.5℃に沿った意欲的な排出削減目標をバリューチェーン全体で達成することが求められます。これは、企業が直接排出することで、産業革命前と比べて1.5℃を超える地球の気温上昇に寄与しないことを保証することを意味します。ネットゼロの誓約は、パリ協定に沿ったものです。
このコミットメントにより、当社は競合他社の中でも最も意欲的な目標を設定し、パリ協定の目標を10年分前倒しすることになります。当社の戦略は、BSRと共同で策定しました。BSR は、250社以上のメンバー企業のネットワークと協力し、コンサルティング、リサーチ、セクターを超えたコラボレーションを通じて、持続可能なビジネス戦略とソリューションを開発しているグローバルな非営利団体です。当社の戦略は、3つの柱に分かれています。
- 効率性を生かす:1トンの二酸化炭素(CO₂)の排出が回避されるごとに、1トン分の排除や相殺の必要がなくなります。当社の従業員は、このような効率性を生み出す革新的な能力をすでに発揮しています。当社は、エネルギー効率の向上を中心とした49のプロジェクトを通じて、2020年に12,101トンのCO₂を削減しました。エネルギー効率を高めるために施設、プロセス、設備に投資することで、2040年までに温室効果ガスの排出量を最大15%削減できます。また、この分野には効率化の大きなチャンスがあるため、プロセスガスの使用にも力を入れていきます。
- 再生可能エネルギー:ネットゼロを達成するためには、企業はエネルギー消費に伴う排出量と同じ量の再生可能エネルギーに投資する必要があります。ネットゼロ・モデルでは、電力関連の排出量にオフセットを使用することはできません。当社はこの目標を達成するために、排出量のない再生可能エネルギーのポートフォリオに移行します。2030年までに50%、2040年までに100%の再生可能エネルギーを使用する予定です。また、エネルギー供給会社と協力して、長期契約による投資コストの回収が可能な場所での電力購入契約(PPA)を検討します。さらに、再生可能エネルギーへの移行を支援するために、Renewable Energy Buyers Alliance(再生可能エネルギー・バイヤーズ・アライアンス)に加盟し、よりクリーンなゼロカーボン・エネルギーの未来への迅速な移行を目指します。
- オフセットと影響力:除去できない電気以外の排出物については、その量と同量の認定カーボンオフセットを購入します。Green-E とGold Standard の認証を受けたオフセットは最も信頼性が高く、当社の戦略において優先的に使用されます。また、科学的根拠に基づく目標には、サプライチェーンにおける排出量削減の目標も必要です。当社は、Responsible Business Alliance(レスポンシブル・ビジネス・アライアンス)の会員資格を活用して、サプライヤに排出量削減を働きかけていきます。
当社の「企業の社会的責任(CSR)」チームは、環境安全衛生チームおよび設備チームと密接に連携し、ネットゼロ目標に対する進捗を測定するためのプロセスとフレームワークを確実に整備します。当社のCSRレポートは、当社の進捗状況を知りたい方にとって重要な情報源となります。当社では、排出量をスコープ1、2、3に分けて報告していることにお気づきでしょうか。排出量の範囲は、それがどのような種類の排出であるか、また当社の事業活動にどのように関連しているかを示しています。
- スコープ1 の排出量は、会社が所有・管理する資源からの直接排出です。スコープ1 排出量の例としては、社有車からの排出、暖房や炉で使用する燃料からの排出、工業プロセスで使用するプロセスケミカルからの排出などがあります。当社のネットゼロ戦略では、効率性やオフセット、影響力を活用することで、スコープ1 の排出量を削減・相殺していきます。
- スコープ2 の排出量は、購入エネルギーの生成に伴う間接的な排出量です。当社では、購入電力を意味します。当社のネットゼロ戦略では、再生可能エネルギーによってスコープ2 の排出量を削減・相殺します。
- スコープ3 の排出量は、企業のバリューチェーンにおいて発生する間接的な排出量で、川上と川下の両方の排出量を含みます(詳細は以下の図を参照)。スコープ3 の排出量の例としては、出張(ビジネストラベル)、当社が購入するサプライヤの製品が製造される際に発生する排出量、従業員の通勤、当社製品がエンドユーザーに届くまでの輸送時の排出量などがあります。当社のネットゼロ戦略では、オフセットやサプライヤによる独自の排出削減目標の実施を奨励することで、スコープ3 の排出量を削減・相殺していきます。2020年、当社はビジネストラベルのトラッキングを開始しました。今後も継続して、残りのスコープ3 の排出量も報告対象に加えていきます。
バリューチェーン全体の温室効果ガスプロトコルのスコープと排出量の概要
当社のすべての排出量データは、第三者機関であるTrucost社によって検証されています。Trucost社は、S&P Global社の子会社であり、炭素・環境データとリスク分析のリーダー的存在です。当社に対する同機関による保証書は、当社の2020年版CSRレポートの47~48ページでご覧いただけます。
当社のネットゼロの目標については、いくつかの学習が必要な項目があり、結果が出るまでに時間がかかるかもしれませんが、当社は進捗状況を測定し、より良い結果を出していきます。当社には計画があり、トップダウンでその実行に専念しています。ネットゼロに取り組むことは正しいことです。